インフォーメーション・サービ111:2007年度対策 経済事情 連載第8回[世界経済事情]


T 世界経済の動向

1 2001年からの世界景気の後退

(1) 2001年は、世界同時減速により、ほとんどの国が景気後退となった。

(2) ITバブル崩壊により、アメリカが2000年後半から景気減速となり、アメリカへの輸出を中心に各国の外需が減少した。これが、各国の景気後退の大きな要因となった。

(3) IT関連製品の対米輸出の大幅な落ち込みにより、アジア諸国は景気が減速した。特に、2001年には、台湾とシンガポールが、マイナス成長となるほどであった。

(4) 欧州も2001年第2四半期から景気減速となり、2001年の通年の実質GDP成長率は大きく低下した。

(5) しかし、アメリカ経済は、2002年春には景気回復に転じたと見られる。アジアも同時期に回復したと見られる。予想以上に世界経済が早く回復した要因は、次のものが挙げられる。

a.IT関連製品の在庫調整が急速に進んだ。

b.原油価格の下落。

c.財政金融政策である。金利が過去最低水準になる国も多かった。

(6) 2002年後半以降、イラク情勢の緊迫化により、欧米を中心に景気回復力は弱かった。アジアでも、対米輸出を中心に輸出が鈍化し、SARSも景気に影を落とした。

(7) しかし、2003年後半からは、アメリカ経済にけん引され、世界経済は着実に回復した。アメリカ経済は、減税などのマクロ経済政策に支えられ、2003年後半には力強い景気回復となった。

 ヨーロッパも世界的な景気回復が波及し、景気回復局面に入った。

 アジアでは、中国が10%近い高成長を達成し、この効果が他のアジア諸国・地域にも波及している。

 その結果、2003年の世界経済の成長率は、4.0%となった。

(8) 世界経済は2003年後半から着実に回復し、世界経済のけん引役であるアメリカも2004年は4.2%の高成長となり、中国も10.1%と力強い成長が続いている。ヨーロッパは、各国で成長は多様であるが、緩やかな景気回復となった。そのため、世界経済全体の2004年の成長率は、前年を上回る5.1%となった。

(9) 2003年秋以降に、原油価格は大幅に上昇している。代表的石油指標は、03年9月に28.31ドル・/バレルであったが、06年4月末には71.88ドル/バレルと70ドルを超える高水準となった。しかし、世界の消費者物価指数上昇率は05年には3.9%と、二度の石油危機に比し5分の1の上昇に留まっている。その要因としては、原油依存度の低下、グローバル競争の高まり、各国の公益産業の規制緩和による競争の促進、物価安定を重視するマクロ経済政策の運営などが挙げられる。

表1 世界名目GDPに占める各国・地域のシェア(2003年)

アメリカ 30.6%
EU 29.4%
日本 12.0%
東アジア 8.7%
中南米 4.8%
その他 15.5%

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