インフォーメーション・サービ108:2007年度対策 経済事情 連載第5回[我が国の直接投資]


X 我が国の直接投資

 直接投資は、投資する国の企業の国内収益力が上昇するほど、つまり親会社の業績が上向くほど、またその国の為替レートが上昇するほど、増加するといえる。

1 我が国の対外直接投資

(1)2001年度の対外直接投資は、前年度比27.2%減の485億8000万ドルと前年に続き減少した。これは、世界的な景気後退が響いており、86年以来の低水準であり、その後も低迷した。

(2)2004年度の対外直接投資は、ほぼ横ばいで355億4,800万ドルであった04年末時点での対外直接投資残高(ストック)は、3,717億5,500万ドルであった。国別構成比は、次のとおりである。アメリカ向けは、99年末の47.6%から減少しているが、西欧向けは99年末の19.9%から04年年末の27.4%へ拡大している

アメリカ 38.8%
オランダ 9.8%
イギリス 7.2%
中国 5.4%
NIEs 7.9%
ASEAN 6.4%

(3)地域別では、2003年度は、第一位がEU,第2位がアメリカ、第3位がアジア向けであり、前年と同様であった。

2 我が国の対内直接投資

(1)わが国の対内直接投資の増加は、金融・保険業、通信業、商事・貿易業などの特定の業種により支えられている。

 金融・保険業では、98年からのビッグバンの進展により外資系金融機関のわが国への業務への参入がしやすくなった。さらに、わが国の銀行、証券会社、生命保険が相次いで破綻したため、外資系金融機関がこれらを買収して市場に参入したのであった。通信業でも、規制緩和により外資系企業の参入障壁が低くなった。

(2)98年以降顕著に増加した対内直接投資であったが、国際的には少ない。名目GDPに占める割合を見ると、主要各国に比べ低い水準にある。

(3)わが国は、対外直接投資と対内直接投資を比べると、フロー、ストックとも、後者が極端に少ない。04年度に、対内直接投資が対外直接投資をはじめて上回ったほどである。

 その要因は、以下の3つが考えられる。

ア.賃金などの事業活動コストが高い。

イ.医療・福祉分野、公共サービスなどの規制が強く、参入障壁が高い。

ウ.国内企業の競争力が高く、競争が激しい。

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