インフォーメーション・サービ106:2007年度対策 経済事情 連載第3回[企業部門]


V 企業部門

 1 設備投資の動向

(1)実質民間企業設備投資は、景気拡大期には増加し、景気後退期には減少する傾向にある。

(2)2001年からの景気後退により、2001年の実質民間企業設備投資は、前年の高い伸びから前年度比1.3%増にとどまった。そして、2002年には、前年の景気後退の影響で、実質民間企業設備投資は同5.3%減であった。

(3)しかし、2003年は、後半に景気回復が確かなものとなってきたため、実質民間設備投資は同5.9%の高い伸びとなった。そして、2004年も同4.9%、2005年も7.7%の高い伸びであった。そして、06年も大変高い伸びが見込まれている。好調な企業業績を背景に、設備投資の高い伸びは今後も継続するものと見られる。

 2 企業収益(以下、連結べ−ス)

(1)景気後退入りした2001年度の上場企業の経常利益は、前年度比42.4%減となり、IT不況とリストラにより3割の企業が赤字となった。

(2)景気回復が続き、02〜05年度まで全産業の経常利益額と売上高経常利益率とも4年連続で増加し、その水準もバブル期を超える高さとなっている。

(注)経常利益とは、企業の毎年の経常的な活動により、生じた利益である。営業利益プラス営業外利益により、計算される。

(3)このような好調な企業業績の要因は、石油価格高騰による収益圧迫要因はあるが、内需・外需とも増加している状況の下で売上高が伸び、バブル崩壊後の過剰雇用、過剰設備、過剰債務の3つの過剰問題の終息による企業の体質改善が大きかった。これにより、人件費や利払い費などの固定費の削減となり、損益分岐点が大きく引下げられた。

(4)好調な企業業績を反映して、大幅な増配や復配など株主還元策に踏み切る企業が相次いでいる。また、株式数を減らし1株当たりの価値を高める自社株買いも活発である。05年度の全国の上場企業の自社株取得額と、東京証券取引所第一部に上場する企業の配当総額は、ともに過去最高となった。これは、株価を高め、敵対的買収を未然に防ぎたいという企業の思惑が働いているといえる。

3 企業倒産の減少

(1)倒産企業(負債1千万円以上)の負債総額は2001年から、倒産件数は02年から減少を続けている。

(2)05年度の倒産件数は前年度比0.8%減の1万3,710件と、4年連続で減少した。バブル崩壊直後の91年度以来、14年ぶりの低水準であった。負債総額は6兆1,220億円で、同13.1%減少し、11年ぶりの低水準であった。

(3)過去5年倒産の減少は顕著であるが、大手銀行の不良債権処理は峠を越え、倒産はバブル処理型から本業不振による構造問題へ移行しているといえる。

(4)倒産の減少は景気回復も一因であるが、政府が中小企業向け金融支援を充実させた影響も大きく、延命策により不振企業が残存している側面もあることに注意しなければならない。

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