インフォーメーション・サービ105:2007年度対策 経済事情 連載第2回[家計支出]


U 家計支出

1 個人消費の緩やかな増加

 景気後退下で、個人消費は、2001年度は3.4%減と急減し、景気後退の大きな要因となった。景気回復に転じた2002年度以降も、個人消費は、低迷していた。しかし、2003年秋以降、個人消費は明らかな増加となっている。

 これは、2003年からの雇用リストラの一巡により、完全失業率が低下し消費者マインドが改善したことや、家計所得が03年後半に下げ止まり05年に持ち直してきたことが主な要因である。

 国民所得統計では、実質民間最終消費支出は(個人消費)は、04年度1.6%増、05年度は2.4%増である。このような動きから、個人消費は実質2%程度の増加を続けていると見られる。

2 消費増加による貯蓄率低下

 家計貯蓄率は、1997年度に11.5%となった後、7年連続で低下し、04年度には2.7%であった。可処分所得が97年度をピークに減少を続け、一方で、消費は緩やかに増加しているためである。特に、今回の景気回復の02年度以降、横ばい程度に留まる家計所得の下で、消費支出が回復していることが、貯蓄率低下となっている。

 最近の貯蓄率低下は、高齢者世帯が増加していることも反映していると見られる。一般に、若年のときは貯蓄を積み増し、高齢期には貯蓄を取り崩すと見られ、人口の高齢化は貯蓄率を低下(消費性向を上昇)させる方向に影響を与えると見られる。

3 住宅建設の推移

(1)2001〜2002年の新設住宅着工戸数は、減少に転じた。税額控除額が最高50万円に縮小されたことや、景気後退感が強まるなか、住宅購入に慎重な姿勢が強まったことも大きな要因である。

(2)2003年は、住宅ローン減税の延長(期限の2003年末から2008年末へ の延長)が決まっていない段階での駆け込み需要や住宅ローン金利の先高観などにより、前年比0.8%増の約116万戸であった。

 2004年も、景気回復を反映し、118万9,049戸と前年比2.5%増加した。

(3)05年の住宅着工戸数は124.8万戸と、97年度以来の高水準となり、3年連続で増加した。貸家と分譲マンションが高い伸びとなった。賃貸マンションなどの貸家戸数は51万戸と96年度以来の高水準で前年度比10.8%も増え、分譲マンションも37万戸と94年度以来の水準となった。

 貸家や分譲マンションが高い伸びを示しているのは、所得環境の改善や低金利により、住宅取得意欲や貸家への投資意欲が向上しているためである。さらに、都市部の継続的地価下落により、利便性の高い都市部の物件の需要が増加したことや、団塊ジュニア層が一次取得年齢になってきているためもあると考えられる。

 以上のように、住宅着工は好調であり、住宅着工戸数は年率換算で05年度後半から120万戸台がほぼ定着している。日銀のゼロ金利解除により、住宅ローンの金利先高観が強まっている現状では、個人に前倒しでマイホーム購入を促す駆け込み需要が見込まれ、住宅着工は堅調に推移するとの見方が多く、長期の景気回復の支え役となりそうである。

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