インフォーメーション・サービ103:2007年度対策 財政学ミニ講座


目 次
1.財政学とは何か。
2.財政の基本機能 ― 市場の失敗の是正
3.予  算
4.租  税
5.公  債
6.地方財政
財政学参考文献

1.財政学とは何か。

(1)財政の内容  租税の徴収、諸経費の支出、公有財産の管理、公債の発行・管理
(2)財政区分  中央政府 ― 国家財政
 地方政府 ― 地方財政
(3)財政の総括的定義  政府が議会の議決により、公的欲求を満たすために、財・サービスを購入し、管理する行為

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2.財政の基本機能 ― 市場の失敗の是正

(1)資源配分機能

例.公共財の十分な供給 ― 市場では誰でも無料で利用できる、道路、橋、公園等の公共財は、全く供給されないか不十分にしか供給されない。したがって、政府により十分な供給がなされねばならない。

(注)公共財の特徴 1.非排除の原則 − 対価を支払わなくても消費可能
2.非競合性 − ある人の消費が他の人の消費を妨げない(共同消費)

(2)所得の再分配機能

所得の不公平な分配は、市場では解決出来ない問題である。したがって、政府が介入し、所得再分配が行われる。

具体的政策 ― 所得の累進課税、公的扶助、社会福祉、社会保険(医療保険、年金保険)等の社会保障政策

(3)経済安定化機能

a.ビルト・イン・スタビライザー(自動安定化装置)

財政の中に制度として組みこまれているもので、景気変動を和らげる働きをもつ。強力な効果はもたない。

具体的政策 ― 累進課税、失業保険

 ア.好況期

  国内総生産(Y)増加 → 累進課税により税収(T)増加 

  → 可処分所得(Y−T)の伸び抑制 → 消費(C)の伸び抑制

  → 景気過熱の抑制

 イ.不況期

  国内総生産(Y)減少 → 累進課税により税収(T)減少 失業保険給付の増加

   → 可処分所得(Y−T)の減少を抑制 → 消費(C)の減少抑制

   → 景気後退を抑制    

b.補整的財政政策

インフレーションや失業を解消するために、すなわち物価安定や完全雇用のために裁量的に発動される。強力な効果がある。

具体的政策 ― 財政支出の増減、増・減税

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3.予算

(1) 予算の機能

 財政政策的・政治的・法律的・会計統制的・行政管理的機能を有する。

(2) 予算の原則

単一性の原則 すべての収入と支出を一括して扱うこと.
単年性の原則(単年度主義) 予算内容を一年間の収入と支出に限定すること.
公開性の原則 予算に関する情報が普及していなければならないこと.

(3) 日本の予算制度

 a.予算の内容

予算総則 総括的事項、公債発行限度額、その他予算の執行に必要な諸事項を定めている。
歳入・歳出予算 予算の本体である。
継続費 政府の事業・工事のなかには、完成まで一年以上かかるものもあるため、単年度主義の例外として、必要経費の総額と年度割額を事前に国会の承認を受け、何年かに渡って支出するもので、年限は5か年以内である(例 自衛隊の艦船建造費)。
繰越明許費 年度内に支出が完了せずに、翌年度に繰り越して支出される費用(会計年度独立の原則の例外)。

国庫債務負担行為

歳出予算によらず国が必要あるときに債務を負担する行為で、予算総則で認められる範囲内で行われ、支払いは事業の進捗度に応じて、後年度に行われる(単年度主義の例外)。

 b.予算の種類(次の各予算とも、上記の5項目からなる予算を国会に提出する)

イ. 1 一般会計予算  収入のほとんどは、租税収入であり、支出は一般の行政活動(行政サービス、公共事業、社会保障等)である。

特別会計予算  国が特定の事業を行う場合や、特定の資金を保有して運用する場合、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て、一般会計と区別して経理する必要のある場合に設置される。

政府関係機関予算  国が資本金の全額を出資し、公共性を強く持っているので、予算について国会の承認を受けなければならない政府関係機関の予算。

ロ. 当初予算(本予算)  新会計年度が始まる前に、国の必要な経費や収入を盛り込み決定される予算。
補正予算  予算作成後に生じ、緊急に必要となった経費または債務負担を行うために必要な予算の追加。
暫定予算  新年度が始まるまでに予算が成立しそうもない場合に、予算が成立するまでの短期的な予算。

(4)財政投融資

 国の制度、信用により集められた公的資金を財源にして行われる政府の投資、融資のことである。通称、「第二の予算」ともいわれる。以下は、平成12年度までの財政投融資の内容である。

 a.財源

資金運用部資金  郵便貯金、厚生年金・国民年金積立金、回収金等で財源の約8割を占める。
簡易生命保険資金  簡易生命保険の積立金
産業投資特別会計資金  政府関係機関への出資に対する配当金に当たる国庫納付金等
政府保証債・政府保証借入金  財投資金の配分を受けた公庫、公団などが資金不足を補うために発行する債券・借入金について、政府が元利払いを保証するものである。

 b.財源の特色

公共的資金 公共目的に運用されねばならない。
有償の資金 投融資の対象事業により、元利金の償還が可能なものに限定される(予算は、無償で使用される)。
受動的資金 国民の貯蓄、保険料が主財源であるため、政府によりその量を操作出来ない。

 c.運用

 資金を運用するのは、国、地方公共団体、公庫、公団等である。

 資金運用部資金により、国債引受が行われる。昭和50年度以降の国債の大量発行の下で、重要な役割を果たしてきた。

運用の重点の変遷

1 戦後復興期  基幹産業(電力、鉄鋼、石炭、海運)中心
2 高度成長期  社会資本(道路、運輸、通信)の充実、中小企業関係への投融資が中心
3 安定成長期  住宅、下水道、公園等の生活関連が中心
 平成13年度の財政投融資改革により、市場原理を導入した財投が行われることになった。財投対象となる各特殊法人は、自ら発行する財投機関債により、市場で資金を調達することになった。市場の評価にさらされることにより、運営効率化の誘因が高まるといえる。直ちに政府保証なしに財投機関債を発行することが困難な特殊法人に対しては、審査の上で政府保証債の発行が認められる。そして、財投機関債や政府保証債いずれによっても、資金調達が困難であり、重要施策を行ったり、超長期資金を必要とする特殊法人は、財投債(国債といえる)により調達された財政融資資金の貸し付けを受けることになった。財投債は、財政融資資金特別会計で発行され発行限度額は国会の議決を受ける。財投改革後は、国債の財投による引受けは行われなくなった。

(平成18年度予算は、平成18年度版『図説 日本の財政』東洋経済新報社 第II部第2章参照)

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4.租税

(1) 租税

 国が公的需要に応じるために、財源調達を目的として、反対給付を与えずに強制的に徴収する資金

徴収の根拠 ア.利益説 租税は、政府サ−ビスが与える利益に応じて支払うべき
イ.能力説 租税は、支払い能力に応じて支払うべき

(2) 租税原則論

 租税を賦課する基準は何かという問題に関する理論

 a.アダム・スミスの租税原則

公平の原則 租税は各人が国家の保護の下で、享受する利益(所得の大きさに比例)、すなわち所得に応じて支払われるべきである(利益説)
明確性の原則 税収吏の意のままにならないように、租税の支払金額、方法、期日が明瞭であるべきである。
便宜性の原則 租税方法や時期が納税者にとり便利でなければならない。
最小徴税費の原則 徴税費が、出来るだけ少額であるべきである。

 b.アドルフ・ワグナ−の租税原則

財政政策上の原則 課税の十分性 経費を賄う収入が十分であるべき
課税の可動性 収入不足に対して、弾力的に増税で埋められる税制が必要
国民経済上の原則 正しい税源の選択 国民経済の発展の見地から所得のみに課税し、財産・資本には非課税とし、財産・資本を損なわない。
正しい税種の選択 租税の転嫁を考慮し、負担するはずの者に帰着する税種の選択をすべきである。
公正の原則 課税の普遍性 租税は、低所得層を除いて、広く一般人民に賦課するべきである。
負担の平等性 累進課税のように、負担が公平になるべきである(能力説に当たる)
税務行政上の原則 課税の明確性
課税の便宜性
最小徴税費
(ト、チ、リは、アダム・スミスの上記4原則のうち、2−4の原則と同一である)

 c.スミスとワグナーの比較

アダム・スミス アドルフ・ワグナー
政府の大きさ 「小さな政府」 「大きな政府」
政府サービス 浪費的 建設的
租税原則 3原則 9原則
租税徴収の根拠 利益説 能力説

(3)租税の分類

a.直接税(2005年度の日本の国税に占める直接税比率は57.3%)

・ 租税負担者から直接徴収する租税であり、租税の転嫁は行なわれない。

例.所得税、法人税、相続税、住民税、事業税、固定資産税

・個人の経済状況や税負担能力(担税力)に応じて、賦課されるという長所をもつ。つまり、垂直的公平を満たす。 

・高税率であると、納税者は、納税の苦痛を受け勤労意欲や事業意欲を阻害するという欠点をもつ。

b.間接税(2005年度の日本の国税に占める間接税比率は42.7%)

・納税者と担税者が異なり、納税者の負担が他に転嫁しうる租税である。

例.消費税、たばこ税、酒税

・税負担能力(担税力)に応じた徴収ができず、逆進的になる欠点がある。しかし、同一所得ならば、同一課税となり、水平的公平を満たす。

c.先進5カ国の直間比率(国税)
直接税比率 間接税
日本 67% 33% (2003年度)
アメリカ 79% 21% (2000年度)
イギリス 58% 42% (2000年度)
ドイツ 52% 48% (2000年度)
フランス 52% 48% (2000年度)

(4)租税負担率(対国民所得比) 23.0%(2006年度)

国民負担率(37.7%)=租税負担率(21.5%)+社会保障負担率 (14.7%)

国民負担率とは、両負担で所得から何割徴収されるかを示す。

注:%は、すべて対国民所得比

各国の国民負担率(2003年度)
租税負担率 社会保障負担率 国民負担率
日本 23.0% 14.7% 37.7%
アメリカ 23.1% 8.7% 31.8% 
イギリス 36.9% 10.1% 47.1%
ドイツ 28.6% 24.7% 53.3%
フランス 36.4% 24.5% 60.9%
スウェーデン 49.9% 21.0% 71.0%

(5)シャウプ勧告による税制改正(昭和24〜25年)

a.所得税を中心にした総合課税化を図る。

富裕税、キャピタル・ゲイン課税の創設(その後廃止)

b.利子分離課税を廃止した。

その後復活した。

c.法人擬制説に従い、法人税は個人所得税の前取りとして軽い比例税(35%の単一課税)として、配当の税額控除、法人間配当の益金不算入を採用した。

d.間接税の合理化を図った。

酒税引き上げ、織物消費税・砂糖消費税の廃止、取引高税の廃止、物品税の引き下げ

e.地方の税収確保のために、独立税主義を強化し、補助金の整理合理化を勧告し、地方財政平衡交付金制度を導入した。

市町村優先の原則・・・ 住民税の課税団体を市町村に限定し、市町村に固定資産税を創設、市町村優先の事務配分。

道府県に付加価値税を創設(実施されなかった)

 この改正は、資本蓄積の阻害要因を取り除き、公平な負担を実現し、地方財源の強化を図ったところに特徴がある。しかし、その後この体系は次々と崩されていった。改正の骨子としていたキャピタル・ゲイン課税と富裕税が廃止され、利子分離課税の復活を始めとする各種特別措置の拡大、地方財源強化制度の改変等により、シャウプ勧告の整合性はなくなっていった。

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5.公債

 公債とは、国と地方公共団体がその支出を賄うために借り入れた債務である。

(1) 公債と租税の比較

租税  徴収が強制的であり、民間部門の資産、消費、貯蓄は減少する。人々に負担感を与え、政治的抵抗は大きい。主に、経常的経費の財源であり、政府収入として確実性がある。
公債  購入は自発的なものであり、民間部門の資産、消費、貯蓄は不変である。
 人々に負担感を与えず、公共財の過大供給をもたらし、大きな政府になりがちである(ブキャナンらの公共選択学派)。主に、臨時的・政策的経費の財源であり、短期的に収入を得ることができる。

(2) 建設国債と特例国債(国の公債を国債という)

建設国債  財政法4条により発行され、公共事業費、出資金、貸付金の財源となる。
特例国債  単年度ごとに制定される特例法により発行され、経常的財源に充てられる。赤字国債とも歳入補填国債ともいわれる。

(3)国債の市中消化の原則

 国債の日本銀行引受けは、財政法5条により、禁止されている。戦前、軍事費調達のために、日本銀行引受けにより大量の国債が発行され、財政破綻やインフレーションを引き起こしたという反省により、健全財政主義の立場から厳しい制限が課されている。ただし、短期証券の日銀引受けは、禁じられていない。

(4) 国債の発行状況

 昭和40年度補正予算において、深刻な不況のために特例法による特例国債が初めて発行された。昭和41年度以降は、毎年建設国債が発行された。昭和50年度は、それまでの建設国債とともに、赤字国債が10年振りに発行された。以降、建設国債とともに、平成元年度まで特例国債の発行が継続した。しかし、バブル景気により税収が増加したため、平成2年度から5年度まで特例国債の発行はゼロとなった。しかし、6年度から、税収減のため再び特例国債は発行され始めた。

この結果、平成18年度末には、国債残高は約542兆円となる見込みである。

(国債の発行状況については、平成18度版「図説 日本の財政」東洋経済新報社第I部第3章参照)

(5)国債の償還

a.国債費の構成
イ.国債の債務(元本)償還費  ロ.利払い費  ハ.国債の事務取り扱い費
b.国債整理基金への繰り入れー国債の償還財源となる。
イ.定率繰り入れ・・・一般会計と特別会計による前年度期首国債総額(普通国債のみ)の100分の1.6に相当する額の繰り入れである。これは、社会資本(道路、橋、公共施設など)の耐用年数が60年と想定しているため、各年度その60分の1を積み立てるということである。ただし、財政事情の厳しい年には、繰り入れは停止されてきた。

ロ.剰余金の繰り入れ・・・財政法6条により、一般会計の決算の剰余金の2分の1を下回らな額の繰り入れ。

ハ.予算の繰り入れ・・・必要がある場合に、一般会計と特別会計からの繰り入れ。

(6)国債の借換え

 既に発行された国債の償還のための財源を調達するために、発行される国債を借換え債といい、新たな債務負担を伴わない点で、新規国債とは異なる。

満期が到来した国債は、一部は一般会計の財源で現金償還し、残りは借換え債の発行で償還している。ただ、満期が到来した国債の保有者が、現金で償還を受けるか、借換え債を再び取得するかは自由である。

 建設国債は、60年間で全額を返済する60年償還ルールを採っている。10年国債であると、10年後に60分の10だけ現金償還し、残りの60分の50は借換え債を発行することになる。特例国債については、最初は借換え債を発行しなかったが、厳しい財政事情の下で、昭和60年度以降は、建設国債と同様に60年償還ルールで借換え債を発行している。

(7)公債負担論 公債の発行が、現世代、将来世代にどのような負担を与えるか。各論者の主張それぞれに一理があるといえる。
a.アダム・スミス・・・非生産的な政府消費に使われることや、償還のための課税を将来にもたらすから、将来世代の負担になる。

b.新正統派・・・ラーナーに代表される新正統派は、公債発行のその時点で、民間部門の利用可能な資源を減らすので、租税と同様に現世代への負担であると考えた。これは、国富を変化させるものではないとした。一方、公債を償還する将来時点での課税は、将来世代間において納税者から公債保有者への所得移転にすぎず、将来世代への負担は生じない。

c.ブキャナン・・・現世代が公債を購入するのは、自発的であり、現世代の負担にはならないが、将来世代は、過去の人々の意思決定により強制的に租税を負担させられるので、負担の転嫁が生じる。

d.ボーエン=デービス=コップ・・・公債を購入した第一世代は、第二世代に公債を売却することにより生涯の消費量を一定に保てる。しかし、第二世代は、償還のための課税がなされるならば、公債を保有しない第二世代の人々の可処分所得は減少し、生涯の消費量は減少する。このとき、負担の転嫁が第二世代に及ぶ。

e.モディリアーニ・・・公債は、民間の資本蓄積を減退させ、生産力の低下という将来世代への負担をもたらす。この点では、租税より公債の方が負担転嫁は大きい。

f.リカード=バローの等価定理・・・人々が公債による将来課税を正しく予想するので、財源調達を、現在、課税で行っても公債で行ってもその経済効果は同一のものになるとした。

(公債負担論のより詳しい説明は、ホームページの「公務員試験情報サービス」の2001年12月17日版の後半の「公債負担論」参照。なお、ここの前半の「負の所得税」も必読)

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6.地方財政

  地方公共団体は、財政を通じ、警察、消防、教育、社会保障等、日常生活と密接な行政サービスを供給している。

(1)地方財政計画

内閣は、地方財政全体の歳入・歳出を推計し、地方財政計画を作成し公表する。地方財政計画の役割には、第一に、地方財政と国家財政の全般的連携を目指し、地方財政と国家財政との調整を行う。第二に、地方交付税制度とのかかわりにおいての地方財源の保障を行う。第三に、個々の地方公共団体の行財政運営の指針となる。

地方財政計画と国の一般会計の規模は、前者の方が若干多い。平成18年度では、前者が、83兆1,508億円であり、後者が79兆7,860億円である。

(2) 地方財政の歳入(%は、平成18年度)

a.地方税(歳入の42.0%)

 国税と比較すると、利益説的(応益説的)性格が強い。

 道府県税は、事業税、道府県民税で、53.5%を占め、市町村税は、市町村民税と固定資産税で86.6%を占める(平成16年度)。

b.地方交付税(歳入の19.1%)

 国税である所得税、酒税の32%、法人税の35.8%,消費税の4/5の29.5%(1/5は地方消費税として都道府県の財源になる)、たばこ税の25%が、各地方公共団体の財源不足に応じて、交付される。これにより、地方公共団体の財源の不均衡が調整される。全国一律の行政サービスが提供されるのが狙いである。

 地方交付税は、普通交付税と特別交付税とに分けられる。地方交付税総額の94%は前者に、6%は後者に充てられる。普通交付税は、基準財政収入額が基準財政需要額を下回る自治体に交付される。つまり、財政力指数が1未満の自治体に交付される。特別交付税は、自治体の個別・特殊事情を考慮して交付される。

 ( 財政力指数=基準財政収入額/基準財政需要額 )

c.地方特例交付金(1.0%)

 恒久的な減税の影響による地方税の減少の一部を補てんするもの(減税補てん特例交付金)と、今年度から実施する児童手当の拡充による地方の財政需要を補てんするもの(児童手当特例交付金)として、計上されている。

d.地方譲与税(歳入の4.5%)

 税の地方道路譲与税、石油ガス譲与税、航空機燃料譲与税、自動車重量譲与税、そして特別とん譲与税の5つの、全額か一定割合を、地方公共団体の道路の延長・面積等により譲与する。

e.国庫支出金(歳入の12.3%)

 国が、各地方公共団体に、公共事業、社会保障、教育等のために、交付する補助金である。

  国が、地方公共団体の事業を統制する最大の手段である。対象となる事業の支出割合は、国が半分、自治体が半分などと決まっており、支出金が増えるほど、自治体の負担も拡大する。

f.地方債(歳入の13.0%)

 都道府県は総務大臣の許可により、市町村は知事の許可により、発行される。

 以上のうち、a,b,c,dは、使途を指定されない財源であり、一般財源という。一方、d,e及び使用料、手数料、分担金は、使途を特定された財源であり、特定財源という。

(3)地方財政の歳出

 目的別に分類すると、第一位が教育費(18.5%)、第二位が土木費(16.7%)であり、第三位が民生費(16.6%)、第4位が公債費(14.4%)である(平成16年度)。

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財政学参考文献

 原山広之「合格への30題 財政学・経済政策」 コーナンソフト

 木下康司編 平成18年度版『図説 日本の財政』東洋経済新報社

 総務省編 平成18年度版 『地方財政白書』

 地勢社編 2006/2007『日本国勢図会』

 地勢社編 2006/2007「世界国勢図会」」

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